ドイツでは、様々な形でゼロウェイストやCO2ニュートラルに取り組むお店が増えている。今回見つけたのは、問題なく食べられるけれども、廃棄予定のバナナを活用したカフェ「Keep Banana Coffee & Gelato」。小さなお店だが、ゼロウェイストへの意気込みが感じられるホームページだったので、立ち寄ってみた。
カフェのコンセプト
Sendlinger Tor付近にあるお店で、通りがかる度にヴィーガン・アイスの看板が目につき、一度行ってみたいと思っていた。お店の名前の通り、バナナブレッドやケーキ、ヴィーガン・ジェラートを販売している。
コーヒーはスペシャルティコーヒー、アイスクリームはヴィーガン・砂糖不使用というこだわりのお店。
また、アイスも、ゼロウェイスト・アイスとして販売しており、スプーンやアイスの入れ物は全てワッフルでできている。そして、原材料は全て自転車で仕入れに行っているので、CO2ニュートラル!
ウェブサイトによれば、ミュンヘン初のゼロウェイスト・ジェラート屋とのこと。オーナーの意気込みが感じられるお店だ。
もちろん、コーヒーのテイクアウトも再利用可能な、リユースカップでの販売となる。
環境先進国と言われるドイツだが、街中にはコーヒーの紙カップやアイスのゴミ、その他の食べ物のゴミなどが散らかっていることが多く、いつも残念に感じていた。

Keep Munich clean! という標語には共感する部分があり、応援したいと思えます。
店内の様子
店内に入るとバナナの甘~い香りが。そこらじゅう、バナナの絵(と本物のバナナも)が飾られている。店長と思しき、若い男性が丁寧に接客してくれる。お店はこじんまりとしており、ゆっくりとお喋りをするというよりは、仕事や買い物の合間に短時間立ち寄る感じだ。
アイスはテイクアウトのみとなっているため、店内で休息したい時は、コーヒーやケーキなどアイス以外のものを注文する必要がある。

アイスはバナナ味も含めて合計8種類が売られており、全てプラントベース・砂糖不使用のものだ。お値段は1玉4.2€と通常の4倍近くの値段がする。
超高級アイスだが、乳製品が苦手な私にとっては有難い存在。ドイツのボリュームと甘さこってりのスイーツは苦手という人にとっても良い選択肢だと思う。
今回は残念ながら時間があまりなく、しかも寒かったので、コーヒーだけを注文。このお店でも、やはり抹茶ラテのメニューがあり、店員さんが茶筅を使って作ってくれる。

廃棄バナナの問題
余談となるが、ドイツにおいてバナナがどれだけ廃棄されているか、ご存知だろうか。
なんと、1分あたり288キロ、2800本のペースでスーパーで廃棄されているのだとか。バナナだけでこの数字かと思うと、どれだけ多くの食品が毎日廃棄されているのか、驚愕してしまう。
ドイツにおけるバナナ全体量の30%が輸入時にすでに廃棄され、10%は小売店で廃棄されているらしい。WWFによれば、毎年260万ヘクタールの農地がこの廃棄物のために使われており、これはザールラント州とメクレンブルク=フォアポンメルン州を足した面積に相当するとのこと。ちなみに、ドイツのスーパーで廃棄される食材第1位はパンのようだ。
日本でも廃棄バナナについては、話題になっているようで、NHKの記事を見つけたので、関心のある方は参考にしていただきたい。
本来、熟しているバナナは甘味が多く、砂糖を入れずとも美味しいお菓子を作ることができる。見た目重視の社会で、完璧なバナナが店頭に並ぶ裏側では、多くの食品ロスが生まれている。
バナナの産地では輸出前にすでに大量のバナナが捨てられているそうだ。自分が育てた果実を廃棄しなければならない、というのは何とも悲しい。
私はバナナ自体がそこまで好きではなく、買うことはあまりないのだが、バナナを問わず消費行動のあり方を改めて考えさせられる。
ミュンヘンのゼロウェイスト・ムーブメント
この機会に、ミュンヘンでどのようなゼロウェイストの取組みが行われているのか、調べてみた。イベント感覚で楽しく取り組めるものから、ビジネスレベルのものまで、市の支援も受けながら、様々なイベントが用意されている。
ゼロウェイスト・フェスティバル
2025年7月6日(日)に開催される「Zero Waste Festival 2025」は、フードシェア、物々交換など子供から大人まで楽しめるプログラムが予定されている。フードシェアとは、自宅で食べ切れなくなった食材(問題なく食べられるものに限る)を、登録メンバーに提供できるというオンラインプラットフォーム。フードロスをなくすことを目指している。
ゼロウェイスト・フェスティバルのウェブサイトには初心者にゼロウェイストへの日常のヒントを伝えるブログコーナーもあるので、関心のある方は是非読んでみて欲しい。
ゼロウェイスト・イノベーション・ハブ
ミュンヘン市の経済開発局は、企業やスタートアップ向けに「Zero Waste Innovation Hub」を提供している。このプログラムでは、ゼロウェイスト、資源効率、循環経済に関する無料のワークショップやネットワーキングイベントが開催され、持続可能なビジネスモデルの構築が支援されている。
まとめ:自分でできることから少しずつ
世の中にはゼロウェイストの師匠のような人が沢山いるが、あまり目標を高く設定せず、今の自分にできることを一つやるだけでも、効果は大きいと思う。
私自身も忙しいとついつい忘れてしまうことも多いが、コーヒーのテイクアウトにマグを持って行ったり、地元の市場でばら売りの野菜を購入するなど、簡単にできることをその日の気分で実践している。

何せマイペースなので、楽しめる範囲でゆるゆるやってます。
数年前にドレスデンに行った際に、カフェに飾られていた言葉が印象的だったので、ここでご紹介したい。
“We don’t need a handful of people doing zero waste perfectly. We need millions of people doing it imperfectly”
「ゼロ・ウェイストを完璧に実践している一握りの人々ではなく、不完全ながらもゼロウェイストを実践する人が何百万人の人々が必要なのだ。」

ゼロウェイストは完璧にできなくても大丈夫。少しずつ無駄を減らしていければ、それで良い。自分ができる範囲で実践していけば、各々の行動が、いつか必ず大きな変化を生む日が訪ると信じたい。
良かったらポチッと押して頂ければ嬉しいです。↓

にほんブログ村