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ドイツの賃貸住宅で起こるトラブルと不思議な慣習|大家・管理会社・おすすめ保険まで解説

ドイツ生活

ドイツの家と聞くと、広くて機能的で、住み心地の良いスペースというイメージを持つ人は多いと思う。


しかし、実際にドイツの賃貸住宅に住んでみると、首をかしげたくなるような不便さやトラブルに、思いのほか頻繁に遭遇するものである。ドイツ在住者のブログを読んでいても、「キッチンが壊れた」「暖房が使えない」といったエピソードには事欠かない。

本稿では、ドイツ国内で何度も引っ越しをしてきた筆者の経験をもとに、

  • 入居直後に起こりがちな設備トラブル
  • 大家との関係が生活の質を左右する実情
  • 仕事が遅くて謎の多い管理会社という存在
  • ドイツで賃貸生活を送るなら契約しておきたい保険

について紹介する。

入居して間もなくが一番危険である

ドイツ国内で転々と引っ越しを重ねてきた我が家であるが、そのたびに痛感するのが、前の入居者が、修理が必要な箇所を大家に伝えず、そのまま放置しているケースが非常に多いという事実である。

ベルリンで住んでいた家では、備え付けの食洗機が使えない状態であった。正確に言うと「使えない」というより、「排水ができない」のである。そして極めつけは、我が家のキッチンのシンクを使うと、なぜか下の階に住んでいるおじさんの洗濯機から、その排水が流れ出てくるという怪現象であった。もはや意味不明である。

おそらく前の入居者はほとんど自炊をしないタイプだったのだろう。キッチンの排水管がある程度詰まっていても、シンク自体をあまり使わなければ問題は表面化しない。
しかし、我が家が入居したその日に問題が露呈した。下の階のおじさんが慌ててやって来て、「業者が来て修理できるまで、キッチンを使わないで欲しい」と頼まれたのである。その結果、しばらくのあいだ料理はできず、食器類は浴室で洗う生活を送るはめになった。

以前住んでいた家のバルコニーにはリスが出現

このほかにも、夫が一人暮らしをしていたときに入居した家では、窓に穴が空いた状態だったことがある。どういう経緯でそのような窓になったのかは謎であるが、そもそも「穴の空いた窓のある家に住めるのか?」という根本的な疑問を抱かざるを得ない。

入居してしばらく経ってからも油断は禁物である。どこかしらにボロが潜んでいるからだ。我が家では今年の夏、バルコニーに出るための窓(ドア)が壊れた。ドアの金具部分が相当痛んでおり、ある日扉を引いた拍子に金具が破損し、そのまま扉が閉まらなくなってしまったのである。幸い、このバルコニーの扉は管理会社負担での修理となったが、もし自腹で支払うことになっていたら、2,000ユーロ近い出費になっていたと思われる。ちなみに、バルコニーへの扉は共有部分につながる扉なので、管理会社の負担となるようだ。

錆びついて壊れた金具

さらに、去年の夏にはお湯が出なくなるというトラブルにも見舞われた。我が家の建物は地下にボイラーがあり、そこから各住戸へお湯が供給される仕組みになっている。しかし、ボイラー自体を交換するとなるとまとまった費用がかかるため、多くの大家はなかなか投資したがらない。その結果、その場しのぎの安価な修理で済ませることが多く、数ヶ月経つとまた同じ問題が発生するという悪循環に陥りやすい。

わが家も例外ではなく、お湯が出ない日が数日続いたので、我々はその日数をカウントし「お湯が出なかった日数分の家賃を差し引きます」と大家に宣言した。すると、ようやく重い腰を上げて修理をしてくれたのである。

実は、ドイツの法律では、お湯や暖房といった最低限のインフラが供給されない場合、その日数に応じて家賃から相応の金額を差し引くことが認められている。こうした法律的な背景を理解しておくことは、ドイツで賃貸生活を送るうえで非常に重要である。

大家との相性が生活の快適さの鍵を握る

ドイツでの賃貸生活の快適さを左右する最大の要因の一つは、大家との相性であると言ってよい。親切な大家であれば、こちらが修繕の連絡をした際にも比較的素早く対応してくれるし、日常的にも何かと気にかけてくれる。

しかし、当たり外れが多いのがドイツ。夫が一人暮らしをしていたアパートの大家は、その典型的な例であった。対応がとにかく悪く、挙げ句の果てには契約期間内の退去を要求してきたのである。しかも、その要求は明らかに違法であった。

本来、大家の都合で契約期間内に賃借人へ退去を求めることは、ドイツの法律上できないことになっている。にもかかわらず、このような無理な要求がまかり通ってしまうのは、多くの場合、賃借人側が法的な知識に乏しく大家からの圧力に負けて退去してしまうからである。

そして退去の際には、備え付けで元からあった棚を処分して欲しいと言われたので、入居時の写真を送りつけて我が家には関係のない家具であることを証明しなければならなかった。

ドイツの賃貸市場においては、相手の都合ばかりを慮っていては自分の生活を守れないことが多い。したがって、法律上の権利を理解したうえで、遠慮せずに交渉する姿勢を持つことが、快適な生活を送るための鍵になると言える。

謎の管理会社という存在

ドイツに住んでいてもう一つ不思議に思うのが、管理会社の存在とその役割である。
家賃とは別に「共益費」を支払うのが一般的であり、その中には建物の掃除、ゴミの管理、共用部分のメンテナンスなど、管理会社の業務が含まれている。

かつては、各建物にHausmeister(ハウスマイスター)と呼ばれる管理人が常駐し、日々の管理を行っていたと聞く。しかし、時代の変化とともに、一人(あるいは一社)のHausmeister/管理会社複数の建物を一括管理する形態が増えてきたようである。

問題は、その結果として仕事がとにかく遅いうえ、連絡がなかなかつながらないという事態が頻発することである。何かを依頼しても返事が来ない、あるいは来るまでに非常に長い時間がかかる。そのため、「一体何のために管理費を払っているのか?」という気持ちになってしまうことが少なくない。

もちろん、すべての管理会社や住居がそうであるとは言わないが、少なくとも筆者自身は、これまでのドイツ生活の中で「勤勉なHausmeister」に出会った記憶がほとんどないと言わざるを得ない。

ドイツの住居に住むにあたり契約しておいた方が良い保険

こうした背景を踏まえると、ドイツで賃貸住宅に住むにあたっては、いくつかの保険にあらかじめ加入しておくことが、心の平穏と金銭的なリスク回避のうえで非常に有効である。

特におすすめしたいのは、次の二つの保険である。

  1. 弁護士保険(Rechtsschutzversicherung
  2. 個人損害賠償保険(Haftpflichtversicherung

前者の弁護士保険は、法的トラブルに巻き込まれた場合に、弁護士費用や裁判費用をカバーしてくれる保険である。ドイツでは、大家が違法に賃料を引き上げる、修繕費用の負担をめぐって揉めるなど、住居をめぐるトラブルが少なくない。そうした場面で、専門家に相談しやすくなるという意味で、弁護士保険は非常に心強い存在である。

後者の個人損害賠償保険は、自分が第三者や物に対して損害を与えてしまった場合に補償される保険であり、住居に関しても重要な役割を果たす。たとえば、洗濯機が故障して水漏れを起こし、床や下の階の住戸を水浸しにしてしまったようなケースである。こうし思いがけない事故による高額な損害賠償リスクをカバーしてくれるのが、この保険である。

なお、弁護士保険は住居関係だけでなく、雇用契約をめぐるトラブルなどにも対応していることが多い。理不尽な解雇や職場でのトラブルに対しても相談・対応が可能になるため、ドイツで長く生活するうえで大きな安心材料となる。

ドイツ人は訴訟好きだ。勤務態度に問題があり法的に合法な形で解雇されたとしても、職場に対して賠償を求める人が結構多い。

おわりに

ドイツの住宅は、一見すると広くて機能的で、いかにも「理想的なヨーロッパの暮らし」を体現しているように見える。しかし、いざその内部に足を踏み入れてみると入居直後の設備トラブル、大家や管理会社との駆け引き、法的なルールの理解の必要性など、日本の感覚とは異なる現実が次々と姿を現す。

こうした不思議と理不尽が入り混じったドイツの賃貸住宅で、少しでも安心して暮らすためには、

  • 契約前後のチェックを怠らないこと
  • 大家や管理会社に対して、必要な場面では遠慮せず主張すること
  • 弁護士保険や個人損害賠償保険などを活用し、法的・金銭的なリスクに備えること

が重要であると感じている。

ドイツでの生活をこれから始める人、あるいはすでに賃貸住宅での暮らしに戸惑いを感じている人にとって、本稿が少しでも参考になれば幸いである。

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