ドイツに長く住んでいると、色々な人生経験をするもの。今回は、人生で初めてドイツの職安所に行った際の経験について書き留めておきたい。
ドイツで退職後3日以内にやること
職場で色々なことがあったので、今年の夏で退職し、フリーランスとして働くことを決意。ドイツでは、自分で退職を決め退職届を提出した後、3日以内(営業日)に職安所に求職者としての登録を出さなければならない。ちなみに、解雇や契約が更新されなかった場合も同じで、解雇を通知された日から3日以内に届出を出す必要がある。
求職者として登録されると、今後の手続きについての案内イベントのお知らせが届いた(※各種段取りは、住んでいる都市によって様々なようなので、地域の職安所に問い合わせてください。)
今後の求職活動について話をするためのアポを取得する。私の場合、これまでの副業をフリーランスとして本業にしていくので、そのための支援策がないか聞きに行くためにアポを取った。
職安でのアポ対応
ドイツは、近年まれに見る不景気。求職者・失業者が大勢押し寄せているようで、職安所の職員も手一杯の様子。オンラインポータルでもらう情報と電話で問い合わせた際の答え、郵便で来る書類の内容、それぞれが一致しておらず、訳がわからないのでアポを取ることにした。
電話での応答はドイツにしては珍しく親切な人が多かったので、完全に油断をしていた。アポに赴くと、まずジロジロと見られる。

見た目からして、まともな職員ではありませんでした。笑 負のオーラを持った人という感じの典型。
そして、メールアドレスを書けと言われたので書くと、「手書きの文字が読めない」と言われる。生まれてこれまで、字が汚くて読めないと言われたことは(ローマ字でも日本語でも)今回が初めて。「音読しましょうか?」と申し上げると、不満そうにシステムに打ち込み始める。
この後も、「履歴書の書き方が悪い」「副業の経歴と本業の経歴が両方書いてあるが、一体どちらが本業なのか」「こんな書き方ではまともな企業には就職できない」と言われる始末。そもそも、私は転職活動をする予定ではない。背景について説明する機会がようやく来ると、「何のために来たの?うちは個人事業主を支援する機関ではありません」との回答。
オンラインポータルで別の職員から、創業のためのコーチングなどを受けられる可能性があると聞いていたので、その点について確認すると、「それを送ったのは私ではないので、知らない。そんなものは存在しない」との一点張り。もはや話をするのも疲れてしまったので、早々に切り上げて帰ってきた。
ドイツの役所にありがちなパターン
今回の対応について、「あぁ、やっぱりな」と思う節があったので、ドイツの役所の傾向としてまとめておきたい。
多くの人は自分の仕事に不満があり、鬱憤を晴らす場を探している。そして、自分よりスペックが上に見える外国人が現れると(実際どうなのかはさておき)、自分たちの仕事を奪っているという強迫観念に取り憑かれ、何らかの意地悪をする。これまでのドイツ生活でも、こういうことは何度もあったので、もはや落ち込まないが、このドイツ人の性質を知らずに、落ち込んで自分を責めてしまう外国人は多い。

働かない人が増えているというのは社会問題になっているが、働く人のモチベーションや意欲、自信を削いでいるのは何よりドイツの官僚・役所の人たちである。これが改善されない限り、現在のドイツの社会情勢は変わらないどころか、悪化の一途を辿るであろう。
ドイツ経済衰退の一因:肥大化した公的組織
昨年、ドイツの名だたる自動車都市であるシュトゥットガルトが財政難に陥っているとの報道が世間を賑わせた。報道では、社会保障関係の支出増加と自動車産業の業績悪化が原因とされているが、肥大化した公的組織も恐らく一因であろう。ちなみに、同州の大学街であるハイデルベルク市も財政難だそうだ。
地方自治体のみならず、企業組織でも機能不全に陥った組織が続出している。思うに、50代以降の人々はドイツが好景気であった時代にキャリアを積んでおり、お金の使い方や仕事への取り組み方が、50代以下の世代と根本的に異なる。
世代間格差が生む機能不全
ドイツでは長く勤めていると昇給の機会も多いため、かなりの給与をもらっているにもかかわらず働かない人が少なくない。そのツケが若い世代に回っているという感じだ。ドイツの若い世代は当然、怒り狂っている。大した給与ももらえないのに、上の世代の負の遺産を押し付けられているような感覚だ。
これは今、ドイツ社会全体に見られる傾向だ。学術機関、企業、自治体、どこを見ても、時代についていけず、成果を上げていない年配の人たちが多額の給与をもらって組織にしがみつき、それによって効率がどんどん悪化している。もちろん、全員がそうであるわけではないが、傾向としてはあると思う。
ドイツでキャリアを積みたいと思っている方々には、道のりはかなり険しいので覚悟して渡航してほしい。そして、有望なやる気に満ちた人達がこれ以上、潰されないことを祈るばかりだ。

