ドイツ人の「捨てない文化」と日本の断捨離の違いとは?ドイツ生活で見えてくる物に対する考え方

エコライフ
スポンサーリンク

ドイツ人が物を大事に扱うということについては、以前のブログでも記載した。

持続可能性や環境への配慮が求められる中、物を大事に扱うこと自体は美徳であると思う。ただ、これについて最近自分の中ではっとした瞬間があったので、ブログ記事にまとめておきたい。

日本の断捨離とドイツの価値観のギャップ

日本では「断捨離」という言葉があるように、古いものを持ちすぎると運気が下がるという考え方がある。この間、たまたまYoutubeで「こんまり」こと近藤麻理恵さんの動画を見て、はっと思うことがあった。彼女の片付けの法則は、物を残す・捨てるときの判断は、触ってみて「ときめくか」「ときめかないか」というもの。

頭で考えるのではなく、心で決めるということなのだが、ドイツにいると頭の中で「これはまだ着れるか、使えるか」と判断することが多いのだ。社会の風潮としてお金を使うことにネガティブなイメージを持っている人が多い気がするし、物を買うこと・捨てることは良くないことで倹約こそが美徳であるとする風潮がある。

統計があるわけでないので、完全に主観的な観察になるが、恐らく「ときめき」で物を捨てるか捨てないか判断している人はドイツではごく少数で、理性的にお金と物の耐久性で判断している人が大多数である印象を受ける。

そして、環境への意識が欧州でこれまで以上高まる中、物を捨てることへの社会的な批判やネガティブな意識はドイツに住んでいると感じ取ることができる。ここで重要なのは、決してドイツが『物を捨てないこと=悪い』という話ではなく、単に文化や価値観の差があるということだ。

「ときめき」ではなく「合理性」で選ぶドイツ人の物との向き合い方

ドイツの「捨てない文化」を支えているのは、個人の価値観だけではなく、社会に根づいたリサイクルの仕組みであることにも気づかされる。

街を歩いていると、週末になるとあちこちでフローマルクト(蚤の市)が開かれ、子供のおもちゃから食器、古本、家具まで、あらゆる物が新しい持ち主を探している。そこでは「古い=価値がない」ではなく、「使われてきた時間も含めて価値」という考え方がごく自然に共有されているように感じる。

そして町中には、不要な日用品や本を自由に出し入れできる共有棚やスペースも多く、「捨てる」よりも「誰かに渡す」が当たり前の選択肢になっている。こうした環境の中で暮らしていると、「ときめかない物でも、まだ誰かが使えるかもしれない」と考えるようになり、簡単には手放しにくくなる理由もよく分かる。物を大切に扱うことが美徳というドイツの価値観は、単なる倹約精神だけではなく、循環を前提にした社会全体の仕組みによって支えられている。

機能重視の国で感じる違和感

夫も夫の家族も、「それ、いつの時代のもの?」という物を持っているし、日本に比べて家が大きいが故に、捨てずにずっと置いてあるものも多くある。そして職場の人や街で見かける人も、年季の入った服やカバンを身に着けている。お洒落の国として名高いフランスやイタリアとは雰囲気が異なる(住んだことがないので分からないがイメージ的に)。

5年程前に夫が、義両親が昔使っていた掃除機を使っているところを見たときは、ショートしたら危ないので処分してもらった。そして、ダイニングテーブルもさすがに古くなっていたので、IKEAで新しいものを新調。物を大事にすることは良いことだと思うのだが、あまりにも古いものを使っていると、私は気分が下がって辛くなってしまうのだ。

気分を左右する「ときめく物」の大切さ

洋服も同じような感じで、ドイツでは機能的な洋服を選ぶ人が多いし、冬は9割の人口がズボンとセーターという格好と言っても過言ではない(寒いのでスカートは候補から自ずと外れてしまう)。

私はそこまでお洒落に興味があるわけではないし、買い物も1年に1~2回程度で十分なタイプ。ただ、着心地のいいもの、疲れないもの、そして、明るい色のものを着たいとは思う。ドイツの洗濯機で選択するとカルキの成分により洋服が灰色と化すことが多く、気がつくと黒や灰色の服を着ることが多くなってしまう。

しかも、在宅勤務が多いと猶更、気分よりもルーティーンで服を選んでしまう。先日、冬の買い物の際に見つけた明るいブルーのニットを購入した。暗い天気が続くドイツにおいて、ここまで気分が上がるものかと自分でも関心するくらい効果絶大だった。

自分が5年間の生活の中でいかにドイツという周辺環境に影響を受けていたか、動画を見ながら思い知ったのだった。そもそも、ドイツでときめく服や物に出会う確率が少ないというのも原因ではあるが、クローゼットを開けると「これはもう着ないかな」とか「これを着ても特に気分は上がらない」という服が結構あるのだ。

文化に流されない「自分基準」を持つということ

物を整理する中で、過去の自分に別れを告げたり、思い出に感謝しつつも次のステージに向かう決意ができたりすることができた。物を捨てるということは、悪いことばかりではない。一番良いのは買いすぎず、本当に必要なものを身の回りに置き、大切に扱い、時期が来たら感謝しながら処分するというサイクルなのだろう。

ドイツに住んでいて最近気分が上がらないという人がいれば、自分の手持ちアイテムを見直してみるのも良いかもしれない。無意識のうちに社会の風潮に影響を受けている可能性もある。これを機会に、自分の心が喜ぶものをもう少し取り揃えてみようと思ったのだった。

下記のドイツ情報ブログ⇩バナーをクリックして応援していただけると嬉しいです!

にほんブログ村 海外生活ブログ ドイツ情報へ

タイトルとURLをコピーしました