Food Hub Münchenに潜入

食べもの

先週末、ずっと気になっていたスーパーFood HubMünchenに潜入。

このスーパー、何が特別かというと、スーパーに一定の金額を出資してシェアホルダー・会員となり、3~4週毎に3時間の労働を供与する代わりに、地元の、環境に配慮した食材を安く購入できるというもの。オープン・デーで、外部の人も買い物できるということだったので、視察に行ってみました。

店内はどんな感じ?

店内に入ると、早速会員の人から話かけられ、案内してもらうことに。まずは店内手前にある野菜・果物コーナー。可能な限り、地元(南ドイツ)の食材を集めており、それが難しい場合には欧州内で調達しているようです。また、包装材は最小限に留めてあり、基本的には量り売りのスタイル。ごみが減るのは助かりますよね。

そして、店内右手にある冷蔵コーナーを見に行くと、賞味期限切れ、又は賞味期限が迫った食材が並べてある場所が。賞味期限が切れても問題のない食材が多いので、食品ロスを減らすために、(購入者の自己責任のルールに基づき)販売しているとのこと。ポイントは、値引きせずにそのままの販売価格で売っているということ。生産者にとっては、同じ食材であることに変わりはなく、このような取組をすることで、できる限り生産者が適正な利益を得ることに繋がれば良いと考えているようです。お買い物中のドイツ人女性からも「とても良い取組みだと思う」とコメントがありました。こうやって見ると、いかに通常のスーパーの販売価格が安くつけられているかが分かります。

上述のとおり、店員がいるわけではなく、レジ打ちも含めて全て会員の労働力で成り立っているので、りんごやジャガイモなど、見た目でどの種類か見分けがつかないものについては、どの種類を買い物かごにいれておいたか覚えておいて、レジで伝えてくださいとのこと。確かに、リンゴだけで10種類程度種類があります。

アニマル・ウェルヘアへのこだわり

次に向かったのはお肉・お魚コーナー。正直なところ、バラエティは少ないです。お肉については、大自然の中で放牧された家畜のお肉を扱っていて、廃棄が出ないよう、90%程度販売されて棚が空になりかけてから、必要な分だけその都度仕入れているとのこと。今回は放牧豚のお肉を買ってみましたが、美味しかったです!日本では、アニマル・ウェルフェアの取組みはまだこれからという状況かと思いますが、ドイツでは特に若い人を中心に気を遣っている人が多いです。特に卵のパッケージには、どういう養鶏場(平飼い、放し飼いなど)なのか書いてあることがほとんどです。実際にストレスフリーの動物を食べた方が美味しいのか、プラシーボ効果なのか、分からないところもありますが、自分が家畜の豚だったとしたら、最期は大自然の中でゆったり暮らしたいと思いますもんね。コーヒーも、欧州産というのは難しいですが、適正価格のものを販売したり、ミュンヘン市内で焙煎したものを販売しています。

他にも酒類、穀物、お豆、化粧品類(オーガニック系)、生活用品なども揃っており、基本的にはこのスーパーで買い物が完結するようになっています。あとはコットン製のTシャツや、靴下、下着なども販売されています。ドイツの会社から仕入れているもののようです。

普段の買い物がストレスフリーに

案内してくれた会員の男性は、ここで買い物するようになってから、普通のスーパーには行かなくなったとのこと。確かに、買い物客全員がシェアホルダーということもあり、連帯感があり、普通のスーパーのようにレジ待ちの際に小言を言われることもなければ(ドイツあるある)、ゴミが落ちているわけでもなく、気持ちよくお買い物できる場所だと思います。また、何よりも働いている会員の人たちが生き生きしているのが印象的でした。レジ打ちの人たちでさえ、楽しそうに買い物客とお喋りしながら仕事をしています。ドイツは仕事とプライベートがきっちり分かれた社会で、職場の人と飲みに行く、ということはほぼありません。FoodHubでは、会員同士、食事に誘ったり、イベントを開催したりと、仕事でもなく完全プライベートでもない、第三のプラットフォームになっているようです。

最後に、3~4週毎に回ってくる3時間の労働について尋ねてみました。レジ打ち、配架、生産者とのやりとり(品物の受け取り)などの業務を分担で行うようで、それぞれの希望に応じて、その都度決めているとのこと。3~4週毎に3時間働いても良いし、6時間働いて、その分2カ月お休みをしても構わないようで、割と柔軟にシフトを組めるようです。出資額も130ユーロ程度とお手頃な価格。このお金は退会する際に返却されます。

見学してみた結果は

取り扱っている製品はフェアな価格ということだけあって、割とお高めです。その他のビオスーパー(アルナトゥラやビオカンパニー)と比べた場合、物によっては少し安いかな、というぐらいです。なので、経済的にお買い物をしたい人には当然向いていません。持続可能な食品生産を支援し、同じような目的を持った人とつながりたい!という人にはおススメだと思います。