先日、ミュンヘンから電車で2時間で行けるバンベルクという街に日帰りで旅行に行った。世界遺産にも登録されているこの街、旧市街を歩くだけでも楽しく、観光客も多くないので、おすすめの場所だ。

週末ということもあり、旧市街では市場が催されており、地元の買い物客で賑わっていた。その中でも、BIO食材店「LebeGesund(レーベ・ゲズント)」が印象的だったので、今回の記事でご紹介したい。
名前の意味は「健康に生きる」。その言葉どおり、販売されている食品はすべて敷地内で無農薬栽培された野菜、果物、穀物を使ったものだ。たまたま、店員さんに声をかけられ、話を聞きながら、色々な食材を試食させてもらった。
ドイツでは「BIO(オーガニック)」は特別なものではなく、日常の選択肢のひとつだ。スーパーにも必ずBIOコーナーがあり、EU認証の「BIOマーク(緑の葉っぱのロゴ)」は品質と安全の保証として広く浸透している。健康のためだけでなく、環境保護や持続可能な農業の観点からも、BIOは多くの人に支持されている。
日本に長く住んでいるドイツ人も、ドイツやオーストリア水準のBIO食材は、日本ではほぼ手に入らないと口々に言っている。
Lebe Gesundの理念
LebeGesund の農業は「平和的な農法」を理念にしている。牛糞や鶏糞などの動物性肥料、化学肥料や農薬は一切使わず、自然が本来持つ力を尊重している。
土壌は休耕や落ち葉・有機物で養い、小さな生き物や微生物の働きを大切にしながら健康な畑を育てる。収穫から加工・販売まで一貫してこの哲学に基づき、味や香り、栄養価を最大限に引き出すのが特徴となっている。背景には「すべての生命に敬意を払い、自然と共に生きる」という倫理観があり、自然と人に優しい持続可能な農業を実践している。BIO食材店の中でも特にストイックな理念を掲げているようだ。
野菜スープの素で感じる「BIOの味」
今回購入したのは、野菜スープの素。一般的なスーパーでも「Gemüsebrühe(野菜ブイヨン)」は売られているが、味が濃くて不自然に感じることも多い。また、砂糖が入っていることも多いので、必要以上に甘いと感じてしまう。
一方、LebeGesundのスープの素は、ニンジン・セロリ・玉ねぎ・ハーブを天日干しにして粉末にし、塩と合わせただけのシンプルなもの。

市販品に比べると味は薄いが、野菜本来の旨みが凝縮されている。サラダやディップ、オーブン焼きのじゃがいもに振りかけても美味しく、キッチンで万能に使える。セロリの香りが強いので好みは分かれるが、「自然の味」を大切にしていると感じられる商品だ。
ドイツの調味料製品でよく見かけるのが「酵母エキス無添加」の表示。酵母エキスは化学調味料ではないが、自然志向の消費者にはより自然に近いピュアな製品が好まれる。日本の「化学調味料無添加」と似ているが、より徹底した姿勢が感じられる。
もう一つ手に入れたのは、ベアラウホ(行者にんにくに似た野菜)のジェノベーゼペースト。
春に旬を迎えるこの野菜は、ドイツでは季節を告げる味覚として親しまれている。パスタソースとしてはもちろん、パンに塗るだけでも豊かな風味を楽しめる。ただし、ニンニクの味がかなり強いので、食べ過ぎには注意が必要だ。
それぞれ野菜ブイヨンとジェノベーゼペーストの活用レシピも下記に記しておきたい。
● 野菜スープの素で作る簡単リゾット
フライパンにオリーブオイルを熱し、玉ねぎと米を軽く炒める。そこにBIOの野菜スープの素を溶かしたお湯を少しずつ加えながら煮ていくと、手軽にリゾットが完成する。お好みでアスパラやきのこなど、その他の具材を加えても美味しい。乳製品を食べれる人であれば、仕上げにパルメザンチーズを加えると良い。
● ベアラウホペーストのブルスケッタ
カリッと焼いたバゲットにベアラウホのペーストをのせるだけ。仕上げにトマトを添えると彩りもよく、前菜にピッタリ。にんにくのようなパンチがありつつ、ハーブらしい爽快感もある。
BIOが日常に根付く理由
BIO食材店が支持されるのは、単に健康的だからではない。化学肥料を使わない農業は土壌や地下水を守り、環境への負荷を減らす。さらに、Lebe gesundのように「誰が、どこで作ったか」が明確に分かることは、安心感と信頼につながる。大量生産のスーパーBIOとはまた違う、顔の見える食材なのだ。
ミュンヘン在住者にとって嬉しいのは、Lebe gesundがミュンヘンの観光名所ヴィクトアリエンマルクトにも屋台を出していること。ここではパンやディップ、乾燥野菜など保存食系を中心に購入できる。大都市にいながら、BIO食材を体感できる貴重な場所だ。

そして、やはりドイツ人は自然に近いものが好きだということ。余暇には山に行ったり、湖に行ったり、自然を満喫する楽しみ方をする人が多いし、日本のような大量消費社会とは一線を画している人も多い。せっかくなので、ドイツに滞在している間は、自然に近いBIO食材を楽しむようにしたい。
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