先日、劇場版名探偵コナンがドイツでも上映されていたので、夫と一緒に見に行った。9月には鬼滅の刃も上映されることが決定しており、日本のアニメ文化が海外でも多くの人に愛されていることが伺える。

日本のコンテンツ産業の凄さ
こんなにも多くのコンテンツが短期間に発出される日本に驚かされる。ドイツには合計8年間住んでいるが、大人も子供楽しめるドイツ映画を未だに見たことがない。
そもそも映画は輸入物が多いし、子供向けのアニメも、ピクサーやディズニー以外、見たことがあまりない。ちなみに、映画のテーマも、ナチスや旧東独の話を扱った歴史物が多いという印象だ。ニュアンス系の映画は少なく、プロットがはっきりしているものが多い。
日本に駐在予定のドイツ人と話をする機会があり、飛行機の中で見た日本映画について語ってくれた。題名は覚えていないらしいが、静かで何も起こらないし、結論がよく分からず、最後まで見るのが大変だったとのこと。
ジャンルによって異なるが、確かに日本の映画は、結末を鑑賞者の想像に任せるものも少なくない。そして、話の展開も、人によってはAとも見えるし、Bとも見える多重構造の物が多い印象だ。日本人として、そのような映画に慣れていると、ドイツやアメリカの映画を見ると、展開が単調で非立体に思えることが個人的には多い。
ちなみに冒頭で触れた劇場版コナンだが、夫は登場人物が多すぎて、話に全然ついていけなかったと言っていた。上映後の帰り道で、映画館にいたと思しきドイツ人グループも、あの場面はどういうことなのか?あの人は何なのか?とあれこれ議論をしていた。
増える訪日観光客
近年、訪日観光客は増え続けている。ドイツでも、休暇で日本に行くという人も増えてきたし、日本に行くのが夢!と言っている人も沢山いる。

幸い、日本人であることを理由にネガティブな扱いを受けることはほぼなく、概ね日本人に対する良好なイメージが確立している。
なぜ、それほどまで日本が人気の休暇先として選ばれるのか。その理由は、やはりソフトパワーではなのではないだろうか。アニメや漫画といったコンテンツ・クリエイティブ産業があり、子供のために日本旅行を計画する、という人も少なくない。
そして、日本では、ポップカルチャーも楽しみつつ、真逆とも言える伝統的な文化にも触れられる。ドイツ人にとって、そのコントラストが興味深く思えるようだ。
ドイツのティーン世代にとっての魅力
日本の高校生であれば、カラオケ、ゲーセン、映画・アニメなどは身近な存在だが、こういった娯楽文化はドイツには存在しない。お店も早く閉まってしまうし、日曜日は休息日。
街はひっそりとしている。私は日曜日の静かなドイツの雰囲気が好きだが、遊び盛りのティーネージャーにとっては、退屈かもしれない。
若い世代にとって、こうした日本の文化は魅力的で、いつか留学やワーホリで日本に長期滞在をしてみたい、と思わせるほどだ。日本のソフトパワーがじわじわと若い世代に浸透している。

アニメや漫画が好きで、日本に憧れている、という人、結構多いです。日本人も知らないようなアニメを知っていたりするので、感心してしまいます。
安心感を与える日本
そして、もう一つ重要なのが、争いを好まない日本人の気質である。
個人的な想像だが、ロシアとウクライナの戦争、トランプ政権の発足、ドイツ政治の混迷などにより、多くの人が争い、戦争、対立といったことに拒絶反応を示し始めているのではないか。
それに対し、日本は良くも悪くも争い事に介入せず(少なくとも表面的には)、平和的に物事を解決しようとする性質がある。
それ故、この国であれば、安心して滞在を楽しめる、という安心感に繋がっているのだろう。
まとめ
日本のソフトパワーは、アニメや映画といったコンテンツ産業を通じて世界に広がり続けている。それは単なる一時的なブームではなく、訪日観光客の増加や、若い世代が留学・ワーホリで日本を訪れたいと考えるきっかけにもつながっている。
ドイツに住んでいると、娯楽や文化表現の幅が比較的限られていることを実感する。一方、日本にはカラオケやアニメ、ゲームセンターなどの多様なエンターテインメントが存在し、伝統文化とのコントラストも大きな魅力である。この「違い」こそが、ドイツ人にとっての日本の大きな引力となっているのだろう。
さらに、国際社会の緊張が高まるなかで、日本が持つ「争いを好まず平和的に物事を解決しようとする姿勢」は、訪れる人々に安心感を与えている。文化的な魅力と平和的な国民性、この二つを併せ持つ日本は、今後も世界から注目される存在となりそうだ。
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