今年の7月1日から、晴れてフリーランスになった。日本でもドイツでも、会社員しか経験したことのなかった私がなぜフリーランスになったのか。今日はその経験談をお話ししつつ、ドイツでの手続きについて紹介したい。
ドイツでの会社員時代
ドイツに移住したのは2020年。移住と同時にドイツ企業に転職した。日本でよく聞くように、17時には仕事が終わり、自由な時間はたっぷりある。日本で働いていたときに比べて身体的には格段に楽になった。

しかし、ストレスの量はそこまで変わらなかったのが本音である。私は基本的に仕事が好きであり、仕事を通じて誰かに価値を提供し、感謝されることを楽しんでいるし、自分自身を成長させたいと考えていた。
勤めていた会社はどちらかというと事なかれ主義で、これまでのやり方を変えることは少なく、給料の伸びよりも自由度や休暇の取りやすさを重視していた。その結果、価値観の相違が顕在化し、次第に話が合わないと感じることが増えた。
日本人社員は私一人であったため、休暇は取りやすい反面、休暇中にプロジェクトを進めなければならない場面や、不在時に他の人に頼めないケースなどに疑問を感じていた。
幸い力量は認められ裁量は大きくなり、任される仕事や責任の範囲も広がったが、給料はそれに連動しなかった。交渉は毎年試みたものの実を結ばなかった。そこで、責任が増えるなら、もはやフリーランスでいいのでは?!と思うに至ったのだ。
会社員でいることのメリット
ドイツにおいて、会社員でいるメリットは、主に社会保険料を会社と折半できる点である。交通費を支給する会社も存在するが、基本的には自費であり、家賃補助もほとんど期待できない。
要するに、与えられた給料の中でやりくりするスタンスである。それ自体は合理的だが、そうした出費を踏まえて十分な給料を得られるかを考えると、私にとってのメリットは大きくはなかった。

何よりも、成長志向の私と現状維持を好む同僚との間に埋められない溝があり、次第に仕事を楽しめなくなってしまったのである。同僚たちには個人的にはよくしてもらっており、人間関係に大きな問題があったわけではない。あくまで価値観の違いが理由である。
フリーランスに向けた手続き
ドイツで個人が起業する形態はいくつか存在する。ひとつがフリーランス(Freiberufler)であり、通訳、弁護士、医師、教育者、芸術家、コンサルタントなど、職種が限定されるのが特徴である。もうひとつは個人事業主(Gewerbetreibender)であり、飲食店などフリーランスに分類されない職種はこちらに含まれる。
フリーランスのメリットの一つは、商業登録(Gewerbeanmeldung)が不要であることである。個人事業主の場合はGewerbeamtに登録し、営業税などの対象になる。
ちなみに、フリーランスでも個人事業主でも、年間の売上が22,000ユーロ以下であれば小規模事業者(Kleinunternehmer)に該当し、売上税(Umsatzsteuer)が免除される。
※詳細な判定や税務処理についてはFinanzamt(税務署)や税理士にご確認ください。
フリーランスになってみて実際どうか
現時点では、一言で言えば「楽しい」。好きな時間に気兼ねなくネットワーキングや営業に出かけられるし、自分の考えを自由に発信できる。会社や組織の方向性と自分の考えが一致しないときに感じていたストレスから解放され、開放感がある。

もちろん収入の見通しが不安定になるという懸念は存在する。しかし、自分が提供する価値に対してどの程度の価格を付けられるか、市場のニーズがあるかを理解すれば、あとは売り方の問題だと考えている。
先のことを過度に心配せず、市場に合わせたサービスを創造していくプロセス自体を楽しんでいる。経済がどうであれ、お金は常に市場に循環していると考え、状況に合わせて提供価値を柔軟に変えていくつもりである。
まとめ
7月1日から始まったフリーランス生活は、現時点では自分にとって正しい選択であったと思っている。身体的な満足だけでなく、仕事を通じた成長や価値提供を優先した結果の決断である。
人によって何を優先したいかが異なるので、全員にお勧めすることはできないし、会社員の方が楽しいという人もいると思う。ただ、自分の力量を試してみたい、自由な働き方をしてみたいと思う人はぜひチャレンジしてみて欲しい。副業という形で始めれば、リスクもなく、市場の反応を見ることができる。
今後の経過については、また落ち着いた頃にブログにまとめてみたい。

